尿路結石
尿路結石
腎臓から尿道につながる尿路に結石ができる疾患で、結石のある部位によって腎臓結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石に分けられます。泌尿器科外来で頻度の高い疾患の一つで、20人に1人が一生に一度は罹患し、男性が女性の約3倍多いとされています。
尿と一緒に自然に石が出てくるまで痛み止めを使いながら待つのが一般的です。しばらくすると痛みがなくなることがありますが、痛みを感じにくい場所に石がある状態なだけの場合もあります。石が出ていないのに放置をしてしまうことで腎臓に負担をかけてしまうので、必ず石が尿と一緒に排泄されたことを確認することが大切です。
尿路(腎・尿管・膀胱・尿道)のどちらの部位に存在するかで症状が異なります。
尿検査、画像検査(超音波検査・レントゲン検査・CT検査など)で診断がついたら、まず痛みを抑えます。その後、結石の大きさや位置を確認し、治療方針を検討します。
通常10mm未満の小さいサイズの尿管結石は自然排石(尿に混じって石が体外に出ること)が期待できるため、薬剤を使い自然に体外に結石が出るのを待つ保存療法が基本になります。またこの場合、平均的に3カ月程度で排出される場合が多いです。
尿と一緒に自然に排泄されるよう水分摂取を多くし、尿管の蠕動運動を活発にさせて結石の下降を促します。また、結石が尿管を下降する際に生じる痛みは内服薬によって抑えることが一般的です。
10ミリ以上の大きな結石の場合、自然排石が難しいと医師が診断した場合、痛みが激しく保存療法の効果があまり見られない場合などには手術で結石を除去します。
体外衝撃波結石破砕手術(ESWL)やレーザー砕石器などを用いた内視鏡手術によって結石を砕く術式が主流で、開腹手術が行われることは稀です。手術が必要な場合は専門の医療機関に紹介させていただきます。
尿路結石を予防するためには生活習慣や食事に気をつけることが大切です。
小さいサイズの尿路結石の場合、運動によって排出されやすくなる場合もあります。また、日本人の尿路結石患者の約40%に肥満傾向が見られるため日頃から適度な運動を行うことは予防するのに有効です。
睡眠中は水分補給ができないため尿は濃縮されます。遅くとも夕食は就寝4時間までには、済ませておくのが理想です。
水分を多めに摂取することが大切です。1日あたり2リットルを目安に摂取しましょう。この時、心不全などで水分制限がある方は注意してください。
水分摂取する場合は水道水、麦茶、ほうじ茶などが好ましいです。
煎茶、コーヒー、紅茶などには結石の成分となるシュウ酸の含有量が多く、糖質を含む清涼飲料水、甘味飲料水、コーヒー、紅茶、緑茶、アルコールは結石ができやすくなるので飲み過ぎには注意してください。
塩分や糖分を過剰に摂取すると、尿中のカルシウム排泄量が増え結石が形成されやすくなります。
プリン体は体内で代謝されて、尿酸となります。過剰に摂取すると、酸性尿や高尿酸血症を引き起こします。
動物性脂肪を多く取ると、腸内の脂肪酸が増えてカルシウムと結合します。結果としてシュウ酸はカルシウムと結合できなくなり、尿への排出量が増えてしまいます。
動物性たんぱくが多いと尿の中の尿酸が多くなり結石ができやすくなるため注意が必要です。